| 大 賞 |
曲りたる時間の外へ蝸牛 | 花谷 清 | 京都府 |
秀 逸 |
開かぬ眼も黙祷をする原爆忌 | 三浦 豊 | 神奈川県 |
どの影もふまず八月十五日 | 曽根 新五郎 | 東京都 |
遠泳の水引き摺つてあがりけり | 山村 美恵子 | 福岡県 |
落合ひしふたつの時間雪解川 | 妹尾 武志 | 岡山県 |
地球上の全戦場の夏の雨 | 吉村 丈夫 | 千葉県 |
今といふ今已に無し木の実落つ | 高村 令子 | 岡山県 |
水に浮く脳と浮輪と日本かな | 大久保 昇 | 東京都 |
月までの旅はさみしき夜の雁 | 浅井 慎平 | 東京都 |
神話より民話恐ろし神無月 | 宇井 久 | 大阪府 |
脳のこと考ふる脳冷ゆるなり | 田畑益弘 | 京都市 |
佳 作 |
蜜月の蜜をあつめて冬ごもり | 金谷 晴美 | 秋田県 |
なにほどの証のあらむ春の水 | 黒山 敏恵 | 神奈川県 |
不確かな光を浴びて芹を摘む | 柏木 晃 | 埼玉県 |
シャボン玉海馬しきりに膨張す | 大島 志朗 | 栃木県 |
デユシヤンのモナリサに髭春愁 | 稲垣 長 | 愛知県 |
頭の中の無数すう式松の花 | 滝田 芳順 | 神奈川県 |
飯食うて我は汗かく有機物 | 天地 わたる | 東京都 |
大陽の甘み柿より貰ひけり | 森田 なみを | 群馬県 |
点と線光る炎昼を石切場 | 柄川 治茂 | 岡山県 |
臈たけし蛇ならむ蛇の衣 | 坂詰 國子 | 東京都 |
木に登り月の言葉を吐く少女 | 磯辺 正悟 | 鹿児島県 |
生きること死ぬこと春に笑うこと | 儀間 晶子 | 神奈川県 |
三鬼忌のステッキ石に鳴りにけり | 矢部 道男 | 鳥取県 |
梅若忌水上バスの遠ざかる | 角南 公一 | 東京都 |
炎昼や道に止まれの横の線 | 難波 省子 | 岡山県 |
夏の月征きし君らは訃を知らず | 永野 佐和 | 福岡県 |
朱残る阿像の眉間雲は夏 | 福島 毅 | 岡山県 |
始祖鳥を飼いたし猛き夜の熱 | 山崎 文代 | 東京都 |
炎天の空の一部や観覧車 | 大谷 ゑつ子 | 東京都 |
女の子描く女の子夏休み | 柳 政司 | 青森県 |
我が顔を映せし氷柱折り取りぬ | 山本 左門 | 豊中市 |
新緑に入る肉体をしづかにし | 羽田野令子 | 京都市 |
鮨として回転せねばならぬかな | 加藤静夫 | 東京都 |
いのち歩く負の空間を野分とし | 篠原昭 | 埼玉県 |
ヒロシマのあの日の川の浮いてこい | 岡口修 | 福岡市 |
クレパスの青ばかり減る敗戦忌 | 有馬英子 | 東京都 |
海面の上がる未来と島の春 | 福田知子 | 東京都 |
ゆくべきかとどまるべきか冬の川 | 小林光代 | 岡山県 |
短日の物として壺のなかにあり | 小林 誠三郎 | 岡山県 |
蝦蟇鳴くや冥王星を慕ひ出て | 永禮 宣子 | 岡山県 |
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